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臨帝の短文。
時期は梅雨なんだろうな…。甘めです。
右下の「つづき」からどうぞ。
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臨帝の短文。
時期は梅雨なんだろうな…。甘めです。
右下の「つづき」からどうぞ。
-----朝の天気予報
二人してテレビを点けっ放しのまま寝入ってしまったらしい。帝人は目を覚ましてからそう思った。二人で転がれる広いベッドを置いてもまだ広い部屋で、小さく小さく天気予報が流れている。
臨也さんはまだ寝ているようだ。薄暗い部屋で、テレビという光源の所為で彼の輪郭が浮かんだり闇にまぎれたりしている。じっと見つめていると、眉一つ動かさず熟睡しているのが分かって、いっそのこと今しがた魂が離れた死体のようにも見えた。
テレビの中のアナウンサーは朝からはきはきと仕事に勤しんでいる。
列島の南から順に天気の予報が紹介される。西日本に停滞している雨雲が東に来るのは何時頃になるだろう。今日だったら困る。今日は折り畳み傘一つ持って来ていないから、どこかで買わなくてはいけなくなるかもしれない。借りて帰るのは、やはり、気が引けてしまうし。
何故自分がここにいるのか。帝人はその意味が未だに理解出来ずにいる。
ベッドに腰かけて、無駄にテレビのチャンネルをぐるぐるループさせて時間を過ごしていた昨日の夜。いや夜中だ。臨也はたまに帝人を呼びつけて、適当に食事を作らせて、自分は数台のパソコンに張り付いていたりする。
「適当に過ごしていて」と彼は言うけれど、帝人はいつも「なんで僕を呼ぶんだろう」という疑問で嫌になったり落ち込んだり、最終的にはまあいいかと諦めたりするしかやることはなかった。とりあえず時間の有効活用はしたいので、持ち込んだノートパソコンで作業を始める。そのまま時間は過ぎて、時計は深夜を指し示した。途中から点けていたテレビは、使えるのかどうか不明な運動器具を誰かに売りつけようと頑張っている。
基本的に遅めの時間に眠る帝人でも、そろそろ眠らなければ明日に差し支える、という時間だ。といっても学校自体は休みなので、体内時計のことを考えなければ起きていても支障はない。まあとりあえず、パソコンの電源は落としてみた。
家主の顔も見ないまま眠るのもどうかと思うし……。
そう考えた時に、扉が開いて、そこには家主が立っていた。
「起きてたんだ。俺、寝るから。電気消していい?」
「あ、はい、どうぞ。あの、僕はソファで……」
「君をここに呼ぶ度、何度も言うけど。ここで寝て」
ぱっと部屋の明かりが落とされた。
「それから悪いけど明日八時に起こしてくれる?」
「携帯で目ざましを設定すれば良いのでは」
「電子音がたまにうざいんだ。叩き壊したくなる」
「…………」
「君は壊さないから安心していいよ」
さっさと寝たいオーラが半端じゃない臨也に、帝人は抑え込まれるみたいにベットへとダイブさせられた。突き落とすような形で帝人を転がした臨也は、そのまま帝人を抱え込むようにして寝る態勢に入る。
困ったな。テレビも消せないし、二人の足の下にあるタオルケットを引き寄せることだって出来やしない。
帝人がどうしようと、困惑していると、ふと目を開けた臨也がじっと帝人を見る。
そして啄ばむみたいに口づけをして、すぐに寝入ってしまった。
「……」
こういうところが、この人が奇人変人だと思うところだ、と帝人は顔を真っ赤にする。
男に何でこんなことするかな、何で僕かな。毎回毎回思うのだけれど、今ではもう結構慣れてしまって嫌悪感も驚愕もない。ただちょっと、やっぱり、恥ずかしい。
服を着たまま抱きあって眠るのは、不思議な安心感があると帝人は思う。
何時だってどちらともそのまま逃げ出せるけど、でもぎゅっと一緒に居る、ってことだ。
僕は彼よりも小柄で、力もなく、社会的な地位も、反抗心もない。便利なんだろう。
この行動が彼にとって僕を抱き締めているのか、それとも抑えつけているのか、判断はつかない。ただ僕はこの人のこんな行動も、この状況も、嫌いじゃなかった。
そのまま僕らはすっかり眠りこみ、朝になると、天気予報が僕を眠りから引っ張り上げてくれた。
本日の予報は南から東へと辿り着き、午前は曇り、午後も曇り、ということらしかった。ただにわか雨に注意とのことらしい。運が良ければ濡れずに帰れるということだ。
週間天気予報によると、明日が雨らしい。
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